カリカリ度マシマシのカリカリ梅

写真カリカリ梅

今年は梅の出来がとてもいいと聞いている。固く締まった青梅を2キロほど調達して、赤紫蘇1束とミネラルだくさんのあら塩を用意。夜なべ作業で始めるのは、「カリカリ梅」づくりだ。冷蔵庫にいれて来年まで楽しめる保存食である。

10数年来、子供のお弁当に入れてずいぶん重宝してきた。ほどよい酸味と塩分がお弁当のいいアクセントになるし、カリカリとした食感も好ましい。それに何といっても、強力な腐敗除けになるから頼もしいのだ。夏の朝に握ったおにぎりが、2日目も変わらずおいしく食べられたのよ!と教えられて、それはすごい!とびっくりしてつくりはじめたのがきっかけだった。
カリカリの食感が続くには訳がある。青梅の果肉にはペクチンが含まれているのだが、ペクチンとカルシウムが反応すると、ペクチン酸カルシウムという成分に変化する。これが“カリカリ”食感を保ってくれる立役者なんだそう。
だから、必要なカルシウム分として、卵の殻を足して漬けこむ人もいるらしい。さすがに柔らかくなってしまった青梅をカリカリ食感に戻すことはできないが、おいしいカリカリ梅作りには欠かせないのがカルシウムなのだ。
種を外して刻んだ青梅にあら塩をして重石をすると、梅酢がじわっとあがってくる。そこに、塩で揉んであく抜きした赤紫蘇をあわせる。青い梅が、みるみる赤く染まっていく。塩が落ち着くのを2週間ほど待つと、鮮やかな酸味のカリカリした宝石が出来上がる。
次は完熟梅がでるのを待って、梅干しづくりだ。梅雨の時期の梅仕事はまだまだ続く。

冬木 れい (料理研究家・国際薬膳師)

投稿者: 冬木 れい (料理研究家・国際薬膳師)

料理研究家・国際薬膳師 栃木県生まれ。真言宗の寺に生まれ、幼少時より行事料理、郷土料理に興味を持つ。古典レシピ、薬膳などを研究しつつ、現代人の食卓事情に合わせた料理法を研究テーマにしている。地域食材にも造詣が深く、レシピや商品開発も数多く手がける。「季節のあるきかた」では、日々の暮らしを綴りながら、折々の美味しさを発信していく。