「絵に描いてでも食え」という魚は

キス1

初夏の爽やかさをそのまま体に現したような清楚な姿のこの魚は、”海の鮎”とも称されます。ことわざに「六月の__は絵に描いてでも食え」とあるようにこの時季、まさに旬の盛りを迎えます。下線部にふさわしいこの魚を選びなさい。
①イサキ
②キス
③サヨリ
④ハゼ 

【解答】②キス

【解説】涼しげな容姿にくわえ、きす、キス、鱚・・・と名前の響きがステキなこの魚は、昔は「喜寿」とも書き、祝い魚としても用いられてきた。フランス料理にも使われ、日本語にちなんで「Kisu」と呼ばれている。
細長くスマートな体と、おちょぼ口がトレードマークのキスは釣り魚としての人気も高い。北海道以南に生息し、潮の満ち引きが大きい遠浅の砂泥地を好む。秋から冬にかけては水深50メートル程度の場所で過ごすが、産卵期を迎える夏から秋までは浅瀬にやってくる。
投げ釣りの対象となり、3~10mにすむキスを狙ったキャスティングは迫力がある。比較的小さな魚にもかかわらず、釣り針にかかったときの引きの強さが魅力で、釣り人たちは大型のヒジタタキ(肘叩)を狙い、仕掛けを遠くに飛ばす。
産卵前の6月頃のキスは脂がのりながらも、くせがなく天ぷらやフライなどの揚げ物はもちろん、塩焼きや干物でも上品な味が楽しめる。鮮度がよいと、刺身も美味。

尾山 雅一 (日本さかな検定代表理事)

投稿者: 尾山 雅一 (日本さかな検定代表理事)

平成21年、一般社団法人 日本さかな検定協会を立ち上げる。自ら日本各地をめぐり、検定の副読本執筆まで手がける魚食文化発信のエキスパート。 日本さかな検定(愛称:ととけん)とは、近年低迷が続く日本の魚食の魅力再発見と、地域に根ざす豊かな魚食文化の継承を目的として2010年から検定開催を通し、思わず誰かに伝えたくなる魚介情報を発信する取り組み。 2010年の第1回を東京・大阪で開催、2015年には全国12会場まで拡大。小学生から80歳代まで累計2万名を超える受検者を47都道府県から輩出。今年は6月25日(日)に札幌(初)・石巻・東京・静岡・名古屋・大阪・兵庫香美(かみ・初)・宇和島・福岡ほかの各会場で開催予定。