雪どけの便りが聞こえ、日差しは春めき、水温が上がるとともに、多くの魚にとっては産卵の季節を迎えます。魚は産卵にむけて体力をつけようと餌を食べこみ、産卵のために岸辺近くに寄ってきます。そんな魚たちが、日本各地で「春告魚」の名で登場しますが、瀬戸内海に春を告げる写真の魚を選びなさい。
①サヨリ
②サワラ
③トビウオ
④ニシン
解答:②サワラ
解説:
回遊魚のサワラは、土地ごとに旬は異なるが、春に産卵のため外海から入ってくる瀬戸内を基準として、春の魚とされる。よってサワラは「鰆」と書く。
駿河湾(するがわん)などでは秋から獲れるので、関東地方などでは「寒さわら」の名で正月魚に。近年、温暖化による海水温の上昇のせいか、青森や山形あたりでも漁が盛んになり、いまやサワラの漁獲日本一は日本海にのぞむ京都だ(上記画像提供:京都府)。
若魚のうちはサゴシ(サゴチ)といい、50~60㌢をこえるとサワラと呼ばれる鰆の特徴は身のやわらかさ。1mをこえるような大きなサワラで鮮度のいいものは、刺し身で食べると「皿までなめる」と評されるほど美味だ。焼きものにした後、冷めても身があまり固くならない特徴も合わせもち、惣菜や弁当の具から懐石料理まで、照り焼きや西京焼き、幽庵焼きなどに、また切り身に日本酒をふりかけアルミホイルで包んで蒸す酒蒸しなど用途が幅広い。
また、酢で軽く〆て「きずし」として刺身で。岡山のばら寿司にも、サワラが欠かせない。もうひとつ、見逃せないサワラの特徴がある。魚は一般に頭側のほうが美味しいため、カマなどが好まれるが、サワラはしっぽの方がおいしいとされる珍しい魚だ。さらに、卵巣の味がよく、珍味のカラスミの代用品にもされている。
サワラの名は見ての通り、腹がほっそりしていることから、さ(狭い)はら(腹)を語源とする。若魚のサゴシも狭腰からといわれる。なんともうらやましい体型である。
春告魚といえば、かつては北国に春を告げるニシンが代表格。関東や東海ではメバル、伊豆諸島など黒潮域ではトビウオ、瀬戸内ではサワラとともにイカナゴが。
啓蟄には虫たちが蠢(うごめ)き出すが、魚の世界もホタルイカやイイダコなど、なにやら小さきものたちも目立ってくる。そして潮干狩りにもいい季節、貝がおいしくなる季節でもある。
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