卯の花の匂う垣根に

unohana

小満とは、いのちが、しだいに満ち満ちていくころのことを言います。

日一日と、上昇する気温に合わせ、万物の成長の著しい時期、ようやく暑さも加わり、麦の穂が育ち、山野の草木が実をつけ始め、紅花が盛んに咲き乱れます。西日本では走り梅雨が見られるころですが、沖縄ではこの小満を待たずに梅雨入りとなります。

『夏は来ぬ』
卯の花の 匂う垣根に
時鳥(ホトトギス) 早も来鳴きて
忍音(しのびね)もらす 夏は来ぬ

さみだれの そそぐ山田に
早乙女が 裳裾(もすそ)ぬらして
玉苗(たまなえ)植うる 夏は来ぬ

この『夏は来ぬ』の歌詞は、古典文学者により作詞された19世紀の古い歌曲ということもあり、普段聞き慣れない固い歌詞となっていますが、平成のこの時代に聞くと、まるでプロジェクションマッピングのように、懐かしい風景が目の前に広がっていくような感じがします。

投稿者: 望月 恭子 (季節のあるきかた編集部)

出版社勤務、フリーエディターを経て、出版・広告の企画・制作会社を設立、昨年創立25周年を迎えた。食品、美容、ファッションなど女性や生活に関わるテーマを幅広く扱う。編集を手がけた書籍、ムック本は40冊を越える。現在、専門学校で若い世代にマーケティングの基本などを教えている。