海底の吟遊詩人

houbou

暖かい海域に多いこの魚は、かつては“君の魚”といわれ上流階級の食べものでしたが、近年の温暖化のためか、まとまって獲れ入荷量が増えるとともに庶民的な価格に。
3月から5月の産卵期を前にしたこの季節に旬を迎える写真の魚を選びなさい。
①アイナメ
②カナガシラ
③ホウボウ
④ホッケ
第2回日本さかな検定 2(中)級設問を改題

解答:③ホウボウ
解説:ホウボウの名の由来は、底を這うように動く「這う魚」から転じたとされる。派手な模様と鮮やかな色を持つ羽のような大きな胸びれが目を引くその様子から「海底の吟遊詩人」という風雅なニックネームも。
かつてはもっぱら料理店で使われていたが、最近ではスーパーなどにも並ぶようになり、秋から春先にかけての白身の刺身は上品な味で張りのある歯ごたえが楽しめる。
また和洋どちらの味つけにも向き、塩焼き、蒸し物、揚げ物、鍋物、ブイヤベースなど多くの料理で食される。同じホウボウ科の②カナガシラともども子どもの誕生百日目の「お食い初め」にも使われる。

尾山 雅一 (日本さかな検定代表理事)

投稿者: 尾山 雅一 (日本さかな検定代表理事)

平成21年、一般社団法人 日本さかな検定協会を立ち上げる。自ら日本各地をめぐり、検定の副読本執筆まで手がける魚食文化発信のエキスパート。 日本さかな検定(愛称:ととけん)とは、近年低迷が続く日本の魚食の魅力再発見と、地域に根ざす豊かな魚食文化の継承を目的として2010年から検定開催を通し、思わず誰かに伝えたくなる魚介情報を発信する取り組み。 2010年の第1回を東京・大阪で開催、2015年には全国12会場まで拡大。小学生から80歳代まで累計2万名を超える受検者を47都道府県から輩出。今年は6月25日(日)に札幌(初)・石巻・東京・静岡・名古屋・大阪・兵庫香美(かみ・初)・宇和島・福岡ほかの各会場で開催予定。