季節の天盛り天ぷらそば 白魚

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そばやうどんを始めとする麺類には、日本の四季を映したものがたくさんある。
慌ただしく過ぎてしまう毎日のなかで、お昼ごはんにすする一杯の麺を通して、旬を味わう楽しさを見つけられたら。ほんの少しだけ、こころに余裕が生まれたり、ほっとできるかもしれない。そんな思いで、そば・うどん散歩を始めることにした。

はじめに、お店を選ぶときのルールを3つ。
一、1000円代でお昼のメニューが食べられること
一、20年以上続くお店であること
一、食べログで、★3.5以上であること

探しに探して、春の始まりにと選んだお店は、品川区大森にある、布恒更科。

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たらの芽とふきのとうのそばがあると聞いて訪れた。お品書きを見て、これこれ! と思って頼もうとすると…お値段、2,070円。高い。最初から予算オーバー。これじゃ記事が書けないじゃん、今さらお店を出るわけにもいかないし…と、頭をかかえかけたところで目に入ってきたのは、その隣の「白魚」の文字。白魚…。これも春のメニュー。値段も大丈夫。ということで、おそるおそる、こちらに変更することにした。
白魚なんて、前に食べたのはいつだろうと思いながら(上京して早7年、一度も食べていない気もする…)、待つこと数分。じゃーん!

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きれいな黄金色に揚がった、真ん丸の天ぷらがやってきた。そばからは、だしの良い香り(しばらくクンクンとその匂いをかいでいた私は、さぞあやしい客だっただろう)。
まずはつゆにひたして、ひとくち含む。じわ~っと広がる白魚の甘み…。白魚って、小魚なのに、こんなに濃厚なんだ。恐るべし、存在感。見た目はかき揚げと変わらないじゃんと心のなかでつぶやいた、数分前の自分を恥じた。ごめんなさい、白魚。
体も温まって、お腹も満たされて、帰り際にお店の奥をのぞくと、そばを打つ店主の姿が見えた。

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こんなふうに、作っている人の姿が見れるのは、すごく良い。黙々と手を動かし続けるその姿に、「職人」という言葉が重なった。おいしかったです、ご馳走様でした。
お店を出てからの帰り道、「やっぱり春はもう少し先だよね~」なんて思って歩いていたら、思いがけず小さな春を発見。

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季節は着々と、足を進めているようだ。

◇今回のお店は
布恒更科
住所:品川区南大井3-18-8
大森海岸駅から、徒歩8分ほど
◇いただいたのは
季節の天盛り天ぷらそば 白魚 1,830円(税込)

投稿者: 吉田 真那 (季節のあるきかた編集部)

茨城県出身。幼いころから本や雑誌を読むことが好きで、憧れだった出版業界に入る。現在は、美容や食関連の書籍・広告の編集に携わり、日々奔走中。とくに興味のある分野は、衣・食・住、海外文化、そして人。「季節のあるきかた」では、等身大の視点から情報を発信していく。