立春と旧正月、新年の始まりはどっち?

立春-1(早わかり)

こよみ早わかり、第1回は「立春と旧正月」のはなしから。2つの違い、分かりますか?

立春-2(早わかり)
登場人物は、お陽さまとお月さん。
日本人が明治以前に使っていたこよみを一般的に旧暦と言いますが、正式には太陰太陽暦と言います。お月さんのこよみが太陰暦。お陽さまのこよみが太陽暦です。

立春-3(早わかり)
まずは二十四節気の「立春」。
地球は太陽のまわりを1年かけて周ります。1日の陽が長い夏もあれば、短い冬もあります。1年を24等分して節目となる日、またその期間に名前を付けたものが二十四節気で、季節変化を告げるしるしとなります。「立春」は、春のはじまり。そして、新しい1年のはじまりとされています。

立春-4(早わかり)
いっぽう、「旧正月」または「春節」と呼ばれる1年のはじまりもあります。
これは旧暦の1月1日のこと。旧暦では、月の満ち欠けが基準となって月日が決められます。新月(朔)が1日、満月(望)が15日です。手元にカレンダーが無くても夜空を見上げれば、日の経過が分かることから、古くからさまざまな国で使われてきました。

立春-5(早わかり)
旧暦は太陰太陽暦。お月さんとお陽さまの2人のこよみです。
お月さんのこよみではおよそ29.5日でひと月が巡ります。すると1年は354日。お陽さまのほうは、地球が太陽のまわりを約365日かけて周るので、1年で約11日程度のズレが生じてしまいます。
お月さんだけに任せておくとどんどん年数が経つのが早くなってしまう!お陽さまが決める季節感と、実際の月日がずれてしまう!というわけで2人が協力して、月日と季節がおおよそ一致する!ということで解決させたのが太陰太陽暦です。

立春-6(早わかり)
本当におおよそ一致しているのでしょうか?2016年の立春は2月4日です。2月3日になる年もありますがほぼ変わりません。旧正月は2月8日。4日間のズレです。最近では2012年の旧正月は1月23日、2015年は2月19日。最大で2週間ぐらいはズレることもあり、先に立春が来ることも、旧正月が来ることもあります。
立春が旧正月より先に来ることを「年内立春」と言います。立春と旧正月が重なる、すなわち旧1月1日が立春だと「朔旦立春」と呼ばれ、めでたさ2倍!になります。

立春-7(早わかり)
万葉の歌人、在原元方はこう詠いました。
『年の内に 春は来にけり ひととせを 去年とや言はむ 今年とや言はむ』
(年が変わらないうちに立春が来ちゃったんだけど、昨日までって去年?今年?どっち~?)

立春も旧正月もどちらも新しい年のはじまり。太陽が決める季節の数え方と、主としてお月さんが決める月日の数え方、旧暦にはこの2つの時間の測り方があったということです。月日の数えは、平安時代の宮中から、鎌倉戦国の武家社会、江戸の町人社会と伝わり、いっぽうで季節の数えである太陽暦は農事暦として使われてきました。いわば、「社会のこよみ」と「季節のこよみ」。この言葉をキーワードに、コラムを続けていきたいと思います。

投稿者: 石原 直樹 (季節のあるきかた編集部)

大手広告代理店、企画制作会社にてマーケティングプランナーとして従事。2012年、株式会社ハレノヒコンセプトを設立。商品/催事のコンセプト立案から販促計画まで手がける。日本人のハレの日の心理探求をもとに様々な企画を企業に提案。2015年、Life in Seasons Projectを立ち上げる。