海の貴婦人は腹黒い?

ほっそりした体に銀色の肌、下あごには紅をさしたようなこの魚は、その外見から「海の貴婦人」ともいわれます。漢字にすると針魚、細魚と表す春告げ魚を選びなさい。
① きす  ② さより ③ ししゃも   ④ めばる 

解答:② さより

サヨリ1-AZ089

解説:スマートなボディにツンと突き出た下あご、赤身を帯びた口先が特徴的なさよりは、春になると産卵のために群れをつくって岸辺に近づいてくることから、春を告げる魚といわれる。
美しいプロポーションをもった上に、肉質も上品な味わいで古くから親しまれているさよりは、割烹料理や寿司ダネ、天ぷらになり、スーパーや魚屋で鮮魚で見かけることは少ない。透明感のある銀皮の美しい白身を刺身にすると、独特の風味と強い旨みが味わえ、昆布締めも酢締めもいける。
その長い身を結んで昆布だしでいただく「結びさより」のお椀は祝いの席などにも使われ、見た目に美しく食べても美味このうえない・・・というようにいいこと尽くめの魚というイメージだが、ひらくと腹の粘膜が真っ黒なので腹黒い魚と呼ばれる一面も。
これを人にたとえて、外見がよくて腹黒なひとを「さよりのような人」ともいうが、実はさよりの腹膜の黒さは新鮮な証拠だとか。
①きす(魚喜)は初夏、 ③ししゃも(柳葉魚)は晩秋に旬を迎える。
④めばる(眼張)は、筍(たけのこ)の時期が旬で、春告げ魚のひとつ。

尾山 雅一 (日本さかな検定代表理事)

投稿者: 尾山 雅一 (日本さかな検定代表理事)

平成21年、一般社団法人 日本さかな検定協会を立ち上げる。自ら日本各地をめぐり、検定の副読本執筆まで手がける魚食文化発信のエキスパート。 日本さかな検定(愛称:ととけん)とは、近年低迷が続く日本の魚食の魅力再発見と、地域に根ざす豊かな魚食文化の継承を目的として2010年から検定開催を通し、思わず誰かに伝えたくなる魚介情報を発信する取り組み。 2010年の第1回を東京・大阪で開催、2015年には全国12会場まで拡大。小学生から80歳代まで累計2万名を超える受検者を47都道府県から輩出。今年は6月25日(日)に札幌(初)・石巻・東京・静岡・名古屋・大阪・兵庫香美(かみ・初)・宇和島・福岡ほかの各会場で開催予定。