西日本であまりなじみがなく、もっぱら関東から北海道で親しまれています。もともとは漁師の間でしか食べられていませんでしたが、今では一般にも流通、タラより相場が高いことも度々あるそうです。
築地市場での通称は「たち」や「たつ」、いずれも北海道や東北地方での呼び名。このほか地域によってたくさんの地方名を持ちますが、マダラの白子とは異なる呼び名を選びなさい。
①菊子
②雲子
③助子
④だだみ
【解答】③助子(すけこ)
【解説】
初雪の便りが聞こえるころになると、獲れだすのが鱈。マダラは晩秋から冬にかけて北海道や東北、北陸で水揚げされる。
多くの魚が春の産卵に備えて、冬には脂がのってくる。小寒(1月5日頃)の寒の入りから、大寒を経て、立春(2月4日頃)を迎える寒明けまでが、一年中で寒さが最も厳しい時季。この寒の頃に味がよくなるマダラを「寒鱈」と呼ぶ。
北国の産地ではとれたてを昆布締めにして刺身で食べる。クセがなくとりわけ昆布と相性がよいので、身のエキスが汁に溶けだすちり鍋(たら鍋)にするのが好まれる。津軽では‘じゃっぱ汁’。秋田の‘だだみ汁’。これらの地方には、タラの身がとても煮えやすいことをいう「鱈は馬の鼻息でも煮える」という言葉がある。寒い夜フーフーいって食べる鍋は、体を芯から温めてくれる。
雪が深まる山形・庄内地方でもこの季節の愉しみは鱈だ。当地の名物は寒鱈の‘どんがら汁’。どんがらとはアラのことで、頭から内臓まで豪快にいれた汁のことをいう。
酒田の冬の風物詩「酒田日本海寒鱈まつり」が今年もこの1月27(土)・28日(日)に、酒田駅前や‘さかた海鮮市場’など市内4ヵ所で開催され、寒鱈汁が味わうことができる。
身は脂が少なく淡泊であっさり、だが白子はこってり。この白子を魚の卵だと思っている人が多いそうだが、精巣だ。タラに限らず魚類の精巣は白子という。
この季節、北国を旅すると、魚のうまい店では必ずといっていいほど白子の品書きを目にする。ところが、「白子」と書かれている店にはとんとお目にかからない。
函館あたりから青森にかけては「たち」か「たつ」、または「たご」。岩手、宮城だと「きく」「きくわた」「菊子」。秋田から山形、そして福井では「だだみ」、京都に行くと「雲子」が通り名だ。
素性がわかると、次にはいつもといっていいほど、選択に悩む。「ぽんン酢」か「天ぷら」、いずれを選ぶべきか。甲乙つけがたし。
白子もタラの身同様、火を通しすぎるとぼそぼそになってしまう。沸騰したお湯に30秒浸し、氷水でしめるときゅっと身がしまっておいしくいただけるそうだ。
白子は高たんぱくで低脂肪。貧血を防ぐなどの効果があるビタミン12が豊富だが、コレステロールも多いのでご用心。一時に「ぽん酢」も「天ぷら」も、は・・・。
鱈は食欲旺盛。貝や小魚、イカなど手あたり次第に食べる。実際に食べ過ぎが原因で胃潰瘍にかかる魚もいるらしい。この大食いの性質から「鱈腹(たらふく)」という言葉が生まれた。
世界でもタラはポピュラーな魚で、揚げたタラにフライドポテトを添えた英国の‘フィッシュ&ポテト’は有名だ。
③助子はスケトウダラの白子。卵巣は「たらこ」。これを唐辛子などで味つけしたものが「めんたいこ」である。
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