「今年の中秋の名月は10月4日です。」
そんなメールが突然届いた。
最近の携帯電話はメールが来るとその“さわり”が表示されるので、おおよそ意図やら内容の検討が付くのですが、時としてまったく予想していない内容の時にはキョトンとしてしまう。
新手のオレオレ詐欺系メール?にしては風情がありすぎる。
では、犯人は誰なのか‥。ではなくって、送り主は誰なのか?
私が12年もの間 師匠と崇める花屋の小山さんである。城主のような威厳とForever少年である笑顔が可愛い最愛の師匠は芸術と花、日本の四季をこよなく愛するジェントルマン。
二十四節気をはじめて教わったのも彼からだった。一冊の本を突然渡されて「これはね、君がこれから花屋として生きていくのにとても大切な事が沢山書かれているんだよ」そんな事を言われたような気がする。
毎日をガムシャラに貪欲に生きる20代の私には、なんの事やらさっぱり理解できず、しばらく箪笥の肥やしになっていた‥。(師匠ごめんなさい。)
そんな、生きるだけで精一杯な20代終わりから 少しだけ周りが見えてきた30代。再びその本を手にとって開いてみたら、なんと そこにあったのは四季折々の それはそれは美しい一コマ。日本人が本来生きていくのに必要だった知識と愛すべき風景の数々でした。
師匠は‥、何も難しい事を教えようとしているのでは無く「まきちゃんね、余裕をもって外に気持ちを向けてごらん。君の周りにはこんなにも素晴らしい風景が広がっているんだよ」と、
そんな事を単純に伝えたかったんじゃないかなぁ。
今40代を前にして、考える。
金木犀の香りが早くも漂い始め、公園の片隅に真っ赤に萌える曼珠沙華のまぶしい事眩しい事!!
秋分の頃にはなにか、こう‥「今を生きる」事の大切さを自然に考えさせられる要素が散らばっている気がします。
ちなみに、私の師匠は夏にはパナマハット。冬にはポンポン付きのニット帽。足元は常に革靴+靴下で、よっぽど寒くない限りは半ズボンを履くオシャレオヤジです。
明日はどんなファッションで市場に来ているかな〜笑。