極寒に咲く愛おしいパンジー

版絵 岩下加奈子(Mariquita)
版絵 岩下加奈子(Mariquita)

二重橋あたり、皇居のお堀にも氷が張っています。

こんなに寒いのにどうして白鳥達は水に足をいれていられるのか‥。鳥じゃなくて本当によかったと思うけれど、飛べる羽がある彼らは地上から人間を見下ろして「寒くたって背筋を伸ばしなさいよ!」ときっと思っているはず。

こんな寒い時期にも足元の花壇では花々が元気良く咲いています。だから私は下を向いて歩いているのよ。‥と、ちょっと言い訳。都心なら雪が降っても2〜3日で溶けてしまうので案外この最も寒い時期でもカラフルなお花が楽しめます。

東京は商業施設が多く緑化も盛ん。中でも六本木ヒルズは都会のオアシスで、立派なオリーブの樹々は見事としか言いようのない程に実をつけます。なんと!葡萄棚もあるのを皆さんご存知ですか?

私のお気に入りは「けやき坂」。四季折々の花が植えられていて一年を通してガーデニングの勉強ができます。この時期にはこの花を植え始めるんだ〜!なんてふうに、実地研修を日々積ませてもらっています(車で通るだけですが)

ちょうど綺麗なのが「アネモネ」と「パンジー」。この二つは昨年10月末頃に一斉に植えられました。年を越し、寒の入りをした正に今がベストシーズンです。アネモネは一株から次々に花芽をつけて咲くので立派な一輪が終わると次が現れるというペース。

そしてもう一つはパンジー。私が受け持つガーデニングのお仕事にも毎年植えています。アリスのティールームで踊り出しそう。なんて可愛いのでしょう!!個性的なルックスが本当に粋です。極寒の中に咲く鮮やかな色彩の愛おしい事。見上げるイルミネーションとともに私たちの心をあたためてくれるまるで‥冬のホカロンのような存在です。

版絵 岩下加奈子(Mariquita)
版絵 岩下加奈子(Mariquita)

ただ‥このパンジーさんエディブルフラワー(edible flower‥食べられる花)としてデザートやサラダとしても使います。という事は‥虫たちだってだまっていられません。ナメクジ坊やの大好物。彼らがせっせと花を食べてしまうので鉢植えで植えるときには思い切って全て新しい土を使うなり、駆除の薬を配置するなりの攻防戦が必要となります。なぜ花なのか?葉を食べぬのか!

そんなこんなで寒い1月、2月を過ごしていますが、もう次回は立春となります。一年を二十四節気という区切りで花を見つめてきましたが、驚く程にその季節感が一致していて改めてこの暦の素晴らしさを体感できました。

日本では2月4日が立春です。
あゝ、春はもうすぐですね!

岩尾 真紀 (マリキータ東京フローリスト)

投稿者: 岩尾 真紀 (マリキータ東京フローリスト)

東京を拠点に活動する花屋/フラワーコーディネーター。主に企業のプロモーションや、広告、パーティー、レセプション装花や空間コーディネートを提案。1級フラワー装飾技能士、いけばな草月流師範、グリーンアドバイザー。美味しいもの、美しい物が大好きな人々があつまる"羽根木の森サロン"では定期的にお料理教室×花レッスンの五感で楽しむマリキータレッスンを開催。当サイトでの版絵は岩下加奈子(Mariquita)が担当。