春とは、こんなに雨の降るものだったのかしら?
たっぷりと降る。
そんなニュアンスがぴったりの穀雨の頃。そういえば去年クリーニング屋さんでもらった その名も「白い花の種(混合)」。もらってすぐ、家に帰って袋を破り窓から適当に撒いてみました。
なんと!ソメイヨシノが散った先週にはなにもなかった筈なのに‥八重桜が満開の今週、まさかの「種」開花!! 一面カラスのエンドウ(清明で長く書いたピンク色の小さな豆の花)の合間から一人スクッと白い花が咲いているじゃ〜ありませんか。
一年草であろう、この「白い花」。この子が種を飛ばして4、5年後にはこの庭一面「白い花」が咲く。起源は私。私が蒔いた事など誰も知らない。私だけの優越感。
植物界では毎年出てくる花を「多年草」とか「宿根草」と言い、種まきして花を咲かす多くは「一年草」と呼ばれアサガオやヒマワリなどが有名。
では宿根草って??
根がしっかり地中にのこり、冬には枯れて姿を消し時期が来れば芽が出て葉が出て花が咲く。もちろん種なんかも飛ばします。スズランや菫、タンポポ、クレマチスなどなどイングリッシュガーデンではこんなラインナップが溢れんばかりに咲き乱れます。
今回の加奈子さんの版画は「オダマキ」。
お母様のお庭で咲いていて、あまりの可愛さに目を奪われたご様子。
翡翠のような碧みがかった葉の美しさ。そして、その葉にぴったりの美しい花には白や紫があるけれど、私は断然「紫」派で、以前引っ越す前の実家の屋上庭園で数々の山野草を育てていた中の一つでした。
同じく青みがかった葉っぱの「ギボシ」の足元にひっそりと植えてあったので、冬には鉢と土しか見えなかったはずなのに穀雨の頃、たっぷりと降る雨とともにグングン育つ両者が大好きでした。
お引越しとともに泣く泣く処分してしまった「私の鉢」コレクション。
あゝ、今になって本当に悔やまれるものばかり。
そんな悲しさを加奈子さんの版画を見ながら少し紛らせる事が出来ました。
オダマキ。
二文字違いで私も彼らと一緒になれたのに。
ほろ苦き恋。
失った恋ほど愛おしく思うものなのか‥(苦笑)