おしゃれなお姉さん、貝母百合

版絵 岩下加奈子
版絵 岩下加奈子

ここ数日。お洗濯をするもの気持ちが良くって、冬の合間は乾燥機ばかり使っていたけれどここ数日は天日干しに切り替えました。

物干し竿が並ぶ裏庭の反対側は雑草天国。
ソメイヨシノの開花前から徐々に成長し始めたカラスノエンドウと呼ばれる小さな豆の花が咲き乱れる中、お宝のように違った色がチラホラと混ざっています。

先ず目に飛び込んで来たのは濃いオレンジ色のチューリップ。否が応でも目立っていて、日に日に頭が大きくなって風に大きく揺らいでいるくせして茎はしなやか。決して折れないから本当にすごいわね。営業マンにはぴったり。

この庭のお局様ですか?肥料不足ですか?‥花数が売り物の1/3以下とやや貧素なヒヤシンスがぽつりぽつり。青紫色は、葉ばかりが青々と茂る雑草の中ではまるでサファイアのように輝いています。

真冬には猫草ひとつ生えていなかったのにぃぃ〜。一体いつの間に皆そんなに大きくなっちゃったの!?突然降る一雨ごとに草花たちはキラキラ輝きながらグングン成長していて見ているこちらもキラキラ気分にさせられます。

まさに清明の頃というのは そんな“生き生き” とした力がみなぎる頃。
ここからスタートするぞ!という気持ちが日本中に溢れている気がします。

そんな中、「私は新卒じゃないのよ〜。」と言った風にお澄まししてハイヒールを履いているような花を発見しました。

緩やかにカーラーで巻かれた髪。華奢な体。ついつい回り込んで顔を覗き込んでしまう‥。そして、じっくり見て‥またビックリ!!

貝母姉さんこと、「貝母百合」です。

読み方は「ばいもゆり」。鱗茎がハマグリのような二枚貝の形なんだとか。
英名ではフラチラリアで、別名「編笠百合」とも呼ばれるように千鳥格子の柄が花弁にあるのが特徴です。覗き込んでビックリ!と言ったのはこの事。

なかなか珍しい花ですが、清明の頃には花屋さんでもお庭でも、ひっそりと咲いている事がありますので目を凝らして見てください。

くるりと巻いた葉先の巻きひげが、ほっそりした華奢な指先にも見えてしまう。
加奈子さんの版画でも、このヒゲくるり〜んを文字にアレンジしてあって思わずクスッと笑ってしまいます。

版絵 岩下加奈子
版絵 岩下加奈子

さて。春から新入社員となる諸君。
いつか君達にも気持ちの余裕ができ、ハイヒールを履いてオシャレなバッグを肩から掛け、髪をクルリーンと巻ける日が絶対にやってくる。

それまで負けるな!
(全然違った結びで終わります。笑)

baimoyuri

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岩尾 真紀 (マリキータ東京フローリスト)

投稿者: 岩尾 真紀 (マリキータ東京フローリスト)

東京を拠点に活動する花屋/フラワーコーディネーター。主に企業のプロモーションや、広告、パーティー、レセプション装花や空間コーディネートを提案。1級フラワー装飾技能士、いけばな草月流師範、グリーンアドバイザー。美味しいもの、美しい物が大好きな人々があつまる"羽根木の森サロン"では定期的にお料理教室×花レッスンの五感で楽しむマリキータレッスンを開催。当サイトでの版絵は岩下加奈子(Mariquita)が担当。