異国で出会った純白のクリスマスローズ

版絵 岩下加奈子
版絵 岩下加奈子

24節気のうち、言葉の組み合わせが美しいなぁと思うものがいくつもあって「雨水」はそのなかでもひときわ。

空から降るものが雪から「雨」に変わり、氷が溶けて「水」になる。

「雪」の定義は、大気中の水蒸気から生成される氷の結晶が空から落下してくる天気のこと。雨がひやされて雪になるのではないらしい。(驚き!‥私だけ!?)しかしその逆バージョン、雪が雨になることはあるのだそうで、きっと今時期はこのバージョンが多いかもしれません。

近々雨が降る時に、大気圏を想像しながら「きみ、雪だった?最初から雨だった?ここに来る前はどの国を通ってきたの?」と妄想してみよう。

そういえば以前訪れたドイツ。まさに2月も中旬から末にかけて滞在したのですが、この頃のベルリンの街では昼間ほっこり暖かな日差し、たまに雨が降ったと思ったら、一夜明けると一面真っ白な雪風景に変わっていたりしていて旅行者を戸惑わせてくれました。

その旅を思い返す時、鮮明に蘇るのは「純白のクリスマスローズ」です。
訪れたベルリン郊外の花市場で見つけた、その眩いばかりの白い花は傷ひとつシミひとつない、それは それは‥ため息が出るほど美しい花でした。

市場のおじさんに尋ねれば、「これはmade in Japan! 日本産だよ」と。遥か彼方、遠い異国で日本からやってきたクリスマスローズと対面した私。慣れない国で予測もしなかった味方の出現にちょっとだけ(いや、かなり)緊張がほぐれたのを思い出します。

今、東京の大田市場でも沢山の「クリスマスローズ」が並んでいます。切り花に鉢植え、マンション脇の街路樹の足元でも見かけますね。長く楽しめる多年草というのも人気の秘密でしょうか。品種改良も盛んで展覧会なども多く催される2月には、ほうぼうから「待ち遠しい」という声を聞きます。

でも‥

うつむき加減で控えめな風貌。
愛好家には‥きっとこれがツボなんだろうなぁ。

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こんなふうに…土から蕾のままぐっと芽を出し…うつむき加減のまま、間もなく開花です。

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ちなみに、ネーミングの由来は、イギリスのクリスマスに開花するヘレボルス・ニゲルという品種にちなんでそう呼ばれるのだとか。
※ヘレボルス‥Helleboresはクリスマスローズの学名です。

版絵 岩下加奈子
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岩尾 真紀 (マリキータ東京フローリスト)

投稿者: 岩尾 真紀 (マリキータ東京フローリスト)

東京を拠点に活動する花屋/フラワーコーディネーター。主に企業のプロモーションや、広告、パーティー、レセプション装花や空間コーディネートを提案。1級フラワー装飾技能士、いけばな草月流師範、グリーンアドバイザー。美味しいもの、美しい物が大好きな人々があつまる"羽根木の森サロン"では定期的にお料理教室×花レッスンの五感で楽しむマリキータレッスンを開催。当サイトでの版絵は岩下加奈子(Mariquita)が担当。