キュウリの巻きひげ

版絵 岩下加奈子(Mariquita)
版絵 岩下加奈子(Mariquita)

本格的な夏の訪れは 梅雨がいつあけるか、まだかまだかと待つ小暑の頃から感じます。

夏野菜がずらり、夏の花々もまたずらり。日々花を見て過ごす私たち花屋さんは普通のひとよりも季節の移ろいに「目ざとい」のです。今年はとくに一週間早く花の季節が進んでいるように感じます。

さて今日は24節気ではちょっとだけ早めの夏ならではのあの子の話。あの子がせっせと花をつけています。

「いつの日からか、あんなに愛していたキュウリとの仲が険悪になりました。」

あの、青臭さ‥。あって無いような「味」。 種は半生、実は早熟。新鮮なものには刺までが!それもそのはず。キュウリは黄瓜とも書くのだそうで、黄色く色づいてこそ一人前なのだとか。

祖父祖母のいた頃、毎年決まって盆の迎え火をするときに“おがら”を黄金色した金の洗面器を受けにパチパチと燃やしました。花火のようでとても楽しく我が家では、お盆と言えばちょっとしたクリスマスのような盛り上がり。
(6月終わりから東京でもお盆グッズが花市場にはどどーんと並んでいます)

ご先祖様を乗せてやってくるのは「きゅうり」の馬。足の速い馬にまたがりご先祖様達は翔ってくる。そしておかえりには「茄子」の牛がゆっくりご先祖様を乗せて名残惜しみながら安全運転、御一行は天国へ。
御一行様がご乗車される必要数以上の馬(と牛)を作り怒られました。昔から何かを創作するのが好きです。

7月はウリ科のラッシュ。花だってまだまだ咲き続けます。これから真夏までしばらくこのウリ科の黄色い花々が次から次へと咲き、そして実になるのです。実と花を同時に見る事が出来る数少ない植物。

写真2

残念がならこれはきゅうりの花ではなく「フウセントウワタ」というお仲間です。雨の最中に写真を撮ったので、傘から滴る水滴がアートです。(が、花は風で動いていてぶれぶれです‥)でもこれがまさにきゅうりの花とそっくり。

観賞用ではない胡瓜の花。ちょっとシワシワしていてなんだか可愛いく、巻きつくヒゲはその名も「まきひげ」と言って、スプリング状。コイルのようにクルクルとしているのには意味があります。なんと強い風に吹かれた時にビヨヨーンと伸びるためなのだと!

すごいね、キュウリ。すごいよー!

サラダ以外どう料理していいのだろうか。煮たらどうなるのか?この一口分に塩をちょっと付け過ぎたのではなかろうか?まっすぐよりも曲がっていたほうが美味しいのか?皮はシマシマに剥くのか?千切りの時、緑色を残すにはどの角度で切れば全部に緑がつくのか?叩き胡瓜の力加減は‥(昨夜叩きすぎて粉々に)
‥しつこいようだが、味はあるのか?

こんなことを考えている私はキュウリの事が‥もしかしたら嫌いでは無いのかもしれない。むしろ凄く好きなのかもしれ無い。

胡瓜に頭をハイジャックされたので、今日は冷やし中華を食べました。そして、改めて思いました。冷やし中華には絶対に辛子が欲しい。
そして‥何より「胡瓜様」が必要だと。

余談。きゅうりの花言葉は「洒落」。
‥何故でしょう!? 

岩尾 真紀 (マリキータ東京フローリスト)

投稿者: 岩尾 真紀 (マリキータ東京フローリスト)

東京を拠点に活動する花屋/フラワーコーディネーター。主に企業のプロモーションや、広告、パーティー、レセプション装花や空間コーディネートを提案。1級フラワー装飾技能士、いけばな草月流師範、グリーンアドバイザー。美味しいもの、美しい物が大好きな人々があつまる"羽根木の森サロン"では定期的にお料理教室×花レッスンの五感で楽しむマリキータレッスンを開催。当サイトでの版絵は岩下加奈子(Mariquita)が担当。