江戸前寿司の代表的なネタのひとつであるこの魚は、成長するにつれて新子から、最終的にはこのしろへと呼び名を変えます。「寿司は___に止めを刺す」と鮨通にいわしめる、下線部にふさわしいこの魚を選びなさい。
①穴子
②春子
③小鰭
④鮪
【解答】③小鰭(こはだ)
【解説】江戸前寿司の代表的なネタのひとつ、小鰭は正式名、コノシロの成長段階の名前で、新子(しんこ)、小鰭、中墨(なかずみ)、このしろと呼び名を変えるが、小さければ小さいほど喜ばれる。
近年の旬の変動、移行のずれは、小鰭の世界でも例外ではない。平成に入った頃から、本来8月上旬ころの新子の初荷は7月上旬、さらには6月の末頃と、ひと月余りも早まってきている。残暑の新子、秋の小鰭、冬のこのしろといった季節感が、梅雨明けのシーズン到来へと変化している。
「寿司は小鰭に止めを刺す」といわしめるように、職人にとってその扱いは腕の見せどころ。なかでも技量を問われるのが新子の季節。春に生まれた新子はこの時季、長さ10センチにも満たない幼魚。これを仕込むには膨大な手間と時間と技が求められる。銀色に光る新子を二枚、三枚とのせた握りは見た目も美しい。
鮨通はまず初物で季節を感じ、日ごとに成長する新子に合わせ変化する寿司を楽しむのを粋とする。
①は梅雨のころにいちばん脂がのりおいしくなるといわれるふわふわの食感の「あなご」、②は梅雨もそろそろ明けそうなこの時季限定の鯛の幼魚、「かすご」、④はいまや江戸前
寿司の王様、「まぐろ」。