夏養生はできたて豆腐で

できたて豆腐

朝ごはんに、できたてほかほか豆腐を一品添えるのが最近のお気に入りだ。

早朝に、豆腐屋さんが引き売りに来てくれるわけではない。さりとて、買いに走るお豆腐屋さんが近くにあるわけでもない。「できたて豆腐は自分でつくれる」というところが、お気に入りの勘所なのだ。
5月の末に長年お付き合いのある香川のお豆腐屋さんから、美味しい手作り豆腐のレシピを教えていただいたのがはじまりだ。作り方は簡単そのもの。

①蕎麦猪口に100ccの豆乳(濃口無調整)をいれて、天然にがりを小さじ2/3ほどを加え、ひとまぜする。
②電子レンジで1分加熱する。もしくは蒸し器で15分加熱する。

こんなにお手軽にもかかわらず、豆の香りが鼻へ抜ける、とろっとした舌触りの絶品汲み上げ豆腐ができあがる。
いくらお手軽といっても、わざわざ作る手作り豆腐。豆乳は美味しいものを選ばなくてはもったいない。私のお気に入り定番タッグは、ナカセンナリという品種の長野産大豆を絞ったコクのある豆乳と、高知黒潮町の天日干し塩のにがりだ。

豆腐の起源は、紀元前2世紀頃の中国・前漢までさかのぼるとされる。前漢の高祖・劉邦の孫である劉安が大豆と鉱物ミネラルを合わせてつくったのが起源である、と『本草綱目』(16世紀)に記されている。この「劉安豆腐発明説」は伝説の域をでるものではないようだが、中国で誕生した豆腐が海をわたって日本へと伝えられたことは確かなようだ。
日本で最も古い豆腐の記録は、12世紀頃奈良春日大社の神主が神饌、つまり神様の供物として豆腐をお供えした、としるした日記だという。
高タンパク、低脂肪のイメージの豆腐だが、実は大豆の脂質もしっかり凝固されてもいるパワー食だ。中国から伝わったこのパワー食は、まずは神様へのお供え物として珍重され、お精進のつよい味方としてお坊さんたちに活用され、その後庶民の食卓へと広まっていった。歴史あるパワー食・豆腐は、夏養生の心強い応援団だ。

冬木 れい (料理研究家・国際薬膳師)

投稿者: 冬木 れい (料理研究家・国際薬膳師)

料理研究家・国際薬膳師 栃木県生まれ。真言宗の寺に生まれ、幼少時より行事料理、郷土料理に興味を持つ。古典レシピ、薬膳などを研究しつつ、現代人の食卓事情に合わせた料理法を研究テーマにしている。地域食材にも造詣が深く、レシピや商品開発も数多く手がける。「季節のあるきかた」では、日々の暮らしを綴りながら、折々の美味しさを発信していく。