海に下った幼魚は小エビなどを捕食する雑食性ですが、春に川を上った若魚は川苔だけを食べるベジタリアンに。6月に川釣りが解禁となり、‘清流の女王’と釣り人に称されるこの魚を選びなさい。
①鮎
②岩魚
③鯉
④山女魚
【解答】①鮎
【解説】秋に川で産み落とされ孵化したたあゆの稚魚は海にくだり成長、春に若鮎は川を上る。川に定着すると岩に付着した水苔を食べるため、胡瓜や西瓜を想わせる香りがすることから、香魚ともよばれる。から揚げや天ぷら、なれずし、飴煮とさまざまな料理にあうが、この時季のあゆの香りや食味をもっとも活かすのはやはり、塩焼き。蓼酢をそえた鮎の塩焼きは、初夏の風物詩だ。
6月に解禁される鮎釣りは、水苔のなわばりに侵入するほかの個体を追い払う、鮎の習性を利用した‘友釣り’が一般的。おとり鮎の鼻の穴に輪を通し、掛け針をつけて泳がせ、体当たりしてきた鮎を針に掛けて釣る。実は鮎という漢字は、中国ではなまずを指す。日本で、魚へんに「占」をあてたのは、『日本書紀』に神功皇后があゆを釣って戦の勝利を占ったという記述があり、これに由来する。
ベジタリアンゆえの独特の香りから香魚ともよばれる鮎は、このほかにもさまざまな名をもつ。春に海から川に上りはじめ、秋には産卵して一生を終えることから、年魚。産卵後のメスをその色合いから、錆鮎(さびあゆ)とも古背(ふるせ)とも。産卵のため川を下るあゆをいう落ち鮎は、秋の季語だ。そして、1年の寿命なのに年を越したあゆを、止り鮎と。②はいわな、③はこい、④はやまめ。