よもぎ摘みのおもいで

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五月のゴールデンウィークを前にカレンダーをなんども眺め、花見の宴もひと段落した頃。穀雨とはそんな季節と季節の狭間というイメージでしょうか。

冬の間は寂しかった空き地に川べり、そして田んぼの畔に道路脇。一斉に花が咲き柔らかい草花が顔を出しています。

魔法のような春雨にうたれ、種たち(「穀」たち)は固い殻を破って芽をだすのですね。小さなその一粒からやがて立派な葉をつけ、花をつけそして実をつける。

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最近よく見かけるオレンジ色の小さな花。
「ナガミヒナゲシ」というのですが、この子実は帰化植物。遥か彼方の地中海の方からやって来た外国育ちの子なのですよ。

繁殖力が強く道路脇にフワーッと咲くので脇見運転に気を付けなければなりません。雨の日、濡れた車のタイヤにくっついて日本全国津々浦々、色々な所に運ばれたんだそう!その勢いは止まらない。そう、ヒッチハイカースピリッツ。いいじゃないですか(笑)

記憶を遡っても私が子供の頃にはいなかったような‥。オレンジ色の彼女ではなく、白い「ハコベ」君とか「ぺんぺん草」とか桃色のネジバナが占めていたのです。

特定外来植物とされていて、聞こえが悪いのですけれどね、可愛いものはカワイイ。

あと、穀雨の頃はなんて言ったって「蓬」です。草餅を昔よくおばあちゃんと一緒に作りました。大好きなタケノコ掘りに出かけても、まだまだ筍が出ていないフライングな私たち。 

ショボーンとする私に「セリ」と「蓬(よもぎ)」を取ることを教えてくれたなぁ。ヨモギに似た植物は意外と多くって、「葉の裏側を見て白いものがヨモギだよ。」そう祖母は教えてくれました。

大量に積んだ蓬たっぷりの草餅、ビックリするほど色が濃くって忘れられない。繊維っぽいのも手作りならではで、子供にはちょっと苦いのも印象的でした。

版絵も緑いっぱいの蓬。
餡入りの蓬蒸しパンとコーヒーでブレイクタイムです。
パン専用の木製トレーも懐紙一枚で和風寄りに使えそうです。

版絵 岩下加奈子(Mariquita)
版絵 岩下加奈子(Mariquita)

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春は祖母との思い出がたくさん。
あの頃の目線の先に広がる世界はなんてキラキラしていたのでしょう。

戻ることは叶わぬ夢、
せめて今年はヨモギを摘んで草餅をつくろうか。

岩尾 真紀 (マリキータ東京フローリスト)

投稿者: 岩尾 真紀 (マリキータ東京フローリスト)

東京を拠点に活動する花屋/フラワーコーディネーター。主に企業のプロモーションや、広告、パーティー、レセプション装花や空間コーディネートを提案。1級フラワー装飾技能士、いけばな草月流師範、グリーンアドバイザー。美味しいもの、美しい物が大好きな人々があつまる"羽根木の森サロン"では定期的にお料理教室×花レッスンの五感で楽しむマリキータレッスンを開催。当サイトでの版絵は岩下加奈子(Mariquita)が担当。