高貴な紫色に目を奪われる

版絵 岩下加奈子(Mariquita)
版絵 岩下加奈子(Mariquita)

霜降の頃に旬の草花といえば紫式部やアケビの実。

その高貴な紫色も9月頃には彩度も大きさも若干足りなかったけれど、まさに今時期が美しい。花屋さんはその季節ごと、敏感に色選びをする職業ですがこの時期ころから暖色系が恋しく感じられるように思います。

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そうそう、フランスの車「ルノー」には綺麗なアケビ色の一台があります。
お見事!としか言いようの無いその美しい紫色は日本車の配色候補にはまず絶対にあがる事はないでしょう。(ちなみにカングーという車種ですよ)。

あの仕入れの朝、麻布のあの坂道ですれ違って一瞬で心を奪われました。
あの車の持ち主がどんな仕事をしているのか、あの人は一体どんな人なのか。

あの日、あの時‥あの、あの‥。

そんなこんなで仕入れに行ったものだから、今回は紫色から赤紫系の花ばかり!!(笑)人間の脳って単純です。完全に洗脳されました。

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話戻って、アケビの蔓。
頑丈でそれでいて「しなやか」。だからよく手編みバスケットの材料として使われます。個性ある蔓の自由な形が独特の風合いを出してくれるからその作品どれもが一点物。道の駅マニアとしては、長野や山形などの方角へ旅するときには籠の品定めする事が農産物の物色と並んで私の密かな楽しみの一つにプラスされます。

いけばなの花材としても重宝されるアケビ蔓。子供のころ、野山に分け入り
祖母が木に登って採っていたのを思い出します。その足元には自然薯なんかも自生していて葉っぱから根元をたどり、ひたすら掘り続けるも‥無念、途中で折れるという悔しい思い出も。

野山は私のアスレチック広場。いつか別宅を持つのであれば‥やっぱりこんな自然たっぷりな場所を選びたいなぁ〜。妄想はどこまでも広がります。

古来より多くの人々に愛される「紫」。
その‥ちょっと手の届かない、ハードルの高さに結局みんな翻弄されているように思います。

機会があれば、アケビの果実の独特な口当たり、そしてほのかな甘みを試してみてくださいね。

版絵 岩下加奈子(Mariquita)
版絵 岩下加奈子(Mariquita)
岩尾 真紀 (マリキータ東京フローリスト)

投稿者: 岩尾 真紀 (マリキータ東京フローリスト)

東京を拠点に活動する花屋/フラワーコーディネーター。主に企業のプロモーションや、広告、パーティー、レセプション装花や空間コーディネートを提案。1級フラワー装飾技能士、いけばな草月流師範、グリーンアドバイザー。美味しいもの、美しい物が大好きな人々があつまる"羽根木の森サロン"では定期的にお料理教室×花レッスンの五感で楽しむマリキータレッスンを開催。当サイトでの版絵は岩下加奈子(Mariquita)が担当。