夏が過ぎ 風あざみ

ノアザミ

二百十日を迎えるこの時期は、天気図に時折、秋雨前線が登場するようになるのだとか。

暑さが和らぐという意味の処暑。萩の花が咲き、穀物が実りを始め、高い山々や北国では、ここからぐっと秋が深まっていきます。
またこの頃は台風シーズンでもあり、二百十日、二百二十日とともに、台風襲来の特異日となっています。

そして、この頃いつも思うのは、今年も夏らしいことができなかったなぁということ。海水浴やプールやスイカ割りに浴衣だなんてステレオタイプなイメージを言うつもりはないけれど、せめて花火は観たかったなと思いながら、仕方ないこうなったら秋祭りにでもでかけるかと、毎度判で押したように思う、8月の終わり。なんだか残暑さえも愛おしく感じる処暑の頃なのです。

夏が過ぎ 風あざみ
誰のあこがれにさまよう
八月は夢花火 私の心は夏模様

この「少年時代」のうたのように、夏の思い出は切なく儚く美しく、またひとつ記憶に重ねて、行く夏を惜しむ。処暑とはきっとそんな頃、どんな人にも毎年必ず、夏はやってきて、名残惜しそうに去っていきます。

投稿者: 望月 恭子 (季節のあるきかた編集部)

出版社勤務、フリーエディターを経て、出版・広告の企画・制作会社を設立、昨年創立25周年を迎えた。食品、美容、ファッションなど女性や生活に関わるテーマを幅広く扱う。編集を手がけた書籍、ムック本は40冊を越える。現在、専門学校で若い世代にマーケティングの基本などを教えている。