立春から始まった二十四節気の一年も早いもので、もう半年、立秋を迎えます。
立秋とは、初めて秋の気配がほの見えるころのことを言いますが、実際には暑さの盛り。とはいえ、これ以降は夏の名残の残暑ということになります。
気温は高くても空を見上げると、秋の兆しが見え始めます。空が少しずつ高く感じられ、もくもくとした夏雲の上に、刷毛で掃いたような秋の雲が見えることがあります。夏の太平洋高気圧が徐々に弱まり、低気圧が日本に近づき通過していくようになり、流れるような秋の雲が現れます。そして、その雲にはいわし雲、さば雲、うろこ雲などの名前がついており、すこしずつ秋へと移っていくのです。
だれかさんが だれかさんが
だれかさんが みつけた
ちいさい あき ちいさい あき
ちいさい あき みつけた
これはサトウハチロー作詞、中田喜直作曲の60年ほど前に発表された「ちいさい秋みつけた」の冒頭。サトウハチローが住んでいた東京都文京区弥生の自宅の庭にはぜの木が植えられており、この木が紅葉する情景を見たのが作詞のきっかけとなったと言いますが、この「ちいさい秋」のちいさいには、秋の最初の気配が現れています。
本格的な秋はまだ先。でも、立秋を過ぎたら、どこかで、ちいさい秋に出会える瞬間があるのではないでしょうか。