あれに見えるは茶摘ぢやないか

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穀雨とは、春の雨がたくさんの穀物を潤すことから名づけられたもので、雨で潤った田畑は種まきの好期を迎えます。

またこの時期に降る雨は、百穀を潤し芽を出させる春雨として、「百穀春雨」といわれています。春の雨は、作物にとってまさに恵みの雨なのです。

そして、この時季の終わりには、夏のはじまりを告げる八十八夜が訪れます。

夏も近づく八十八夜
野にも山にも若葉が茂る
あれに見えるは茶摘ぢやないか
あかねだすきに菅(すげ)の笠

これは1912年(明治45年)に『尋常小学唱歌・第三学年用』として発表された「茶摘み」という唱歌。八十八夜に摘んだ茶葉は、長寿の薬とも言われました。優しい香りとほのかな甘みが特長の新茶は、からだにもこころにも染み渡る特別な味だったに違いありません。

投稿者: 望月 恭子 (季節のあるきかた編集部)

出版社勤務、フリーエディターを経て、出版・広告の企画・制作会社を設立、昨年創立25周年を迎えた。食品、美容、ファッションなど女性や生活に関わるテーマを幅広く扱う。編集を手がけた書籍、ムック本は40冊を越える。現在、専門学校で若い世代にマーケティングの基本などを教えている。